株式投資をしていく上で、株式相場だけでなく金利にも注目している方は多いと思います。
なぜなら株式と金利は密接に関係しているからです。
そんな金利は各国の中央銀行によってコントロールされているわけですが、2022年に入ってから各国の中央銀行は金利を引き上げる等の動きを見せ始めています。
その結果、米国では不景気の前兆とされる「逆イールド」が確認されています。
この記事では、景気と金利の関係や逆イールドとは何かなどについて書いていきたいと思います。
・逆イールドとは?
・なぜ逆イールドは景気後退の前兆とされているのか
金融商品への投資は投資者自身の判断と責任において行うべきであるという考え方(自己責任原則)に基づき、投資対象の想定される最大損失額・リスク・費用等について十分な情報を収集することを強く推奨いたします。
景気と金利の関係
景気の良し悪しと金利水準は密接に関係しており、相互に複雑に作用しあっています。
それを事細かく書いても仕方ないので、この記事では極限までシンプルにした理論について書いていこうと思います。
2種類の金利
金利には大きく分けて「短期金利」と「長期金利」の2種類あります。
短期金利というのは、満期までの期間が短い国債の利回り、長期債とは満期までの期間が長い国債の利回りのことです。
言い換えれば、リスクを取らずに短期間運用する場合の金利が短期金利、長期間運用する場合の金利が長期金利です。
一般的に、資金が長期間固定されてしまう分長期金利の方が短期金利よりも利回りが高くなります。
銀行で定期預金を組むときに満期が長いほど利率が高いですよね。
それと全く同じ考え方です。
景気が良くなると金利は上がる
さて、金利と景気には具体的に次のような関係があります。
↓
消費者による消費や企業による投資が活発になる。
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お金の需要が増え、銀行からお金が引き出される。
↓
銀行は預金の魅力を高めるために預金金利を上げる。
↓
借入金利等の負担が増え消費者による消費や企業の投資が減少。
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景気の加熱が収まる。
↓
消費者による消費や企業による投資が活発になる。
↓
需要>供給となり物価が上昇する。
↓
行き過ぎたインフレを抑制するため中央銀行が利上げを行う。
↓
借入金利等の負担が増え消費者による消費や企業の投資が減少。
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過度な需要が衰退し物価の急上昇が収まる。
短期金利と長期金利の反応の違い
今度は景気が良くなった時の短期金利と長期金利の反応の違いを見ていきます。
逆イールドについて
逆イールドとは
さて、ここからが本題ですが、逆イールドについてです。
先ほどの章でもお伝えしたとおり、一般的には長期金利>短期金利が成り立っています。
ところが、稀にこれが逆転し長期金利<短期金利となることがあります。
これが逆イールドです。
長短金利の大小関係が逆転しているのでこのような名前で呼ばれています。
ここで、足元の長期金利と短期金利の動きを見てみましょう。
満期5年の米国債の利回りと満期10年の米国債の利回りを比べたグラフです。
短期金利を5年債利回り、長期金利を10年債利回りと捉えると、足元で短期金利が長期金利を逆転していることが見て取れます。
つまり足元で逆イールドが確認されています。
続けて逆イールドが確認されたことの意味について考えてみましょう。
逆イールドが景気後退の前兆と言われる理由
一般的に逆イールドは景気後退の前兆と言われています。
先ほども書いたように、短期金利は現在〜近い将来の景気を、長期金利は遠い将来の景気を反映しています。
よって、逆イールドが形成されたということは、遠い将来予想された景気に比べて直近の景気に過熱感が出ているということを意味します。
つまり今が景気のピークであり、これからは景気の加熱を抑え込む段階に入ると解釈することができます。
従って逆イールドは景気後退の前兆と言われているわけです。
もちろん逆イールドが形成されたからといって必ず不景気になるわけではありませんし、その時々の要因で金利の動きも異なるので、あくまでも一般的な話と捉えていただきたい内容です。
とは言っても長短金利の関係はさまざまな情報を与えてくれるので、常にチェックしておきたいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。