S&P500は何年持てば良いの??

はじめまして、浦島太郎と申します。

長期投資」とか「長期保有」といった言葉をご存知でしょうか?
S&P500に限らず、投資をしている方ならよく耳にしますよね。

でも「実際のところ長期投資って具体的に何年なの?
と聞かれたら、答えられる人は少ないのではないでしょうか。

このページでは
S&P500の過去30年間のデータを元にこの問いの答えを考えていきたいと思います。

さらにはこの答えを元に
長期投資において重要な投資方法についても説明していきます。

・S&P500は何年くらい保有すれば良いの?
・安定した利益を上げる方法は?
 

この記事は特定の金融商品の売買を推奨・誘導するものではありません。

金融商品への投資は投資者自身の判断と責任において行うべきであるという考え方(自己責任原則)に基づき、投資対象の想定される最大損失額・リスク・費用等について十分な情報を収集することを強く推奨いたします。

 

S&P500保有期間別リターン

S&P500を1年間だけ保有した場合の利益は?

まずはS&P500に1年間だけ投資した場合の利益について
考察していきます。

当たり前ですが
1年間は1年間でも
どの年を切り取るかでリターンは異なります。

そこで
過去30年間の1年ごとのリターンを計測し
これら30個のデータを分析することによって考察していきます。

結果は下表の通りです。

例えば
1992年初にS&P500を一括購入したら
1年後のリターンは+4.5%のリターン、

1993年初にS&P500を一括購入したら
1年後のリターンは+7.0%のリターン、

1994年初にS&P500を一括購入したら
1年後のリターンは-1.5%のリターン、、、

というような見方です。

結果としては
リターンがプラスの年が22回
逆にマイナスの年は8回という結果になりました。

1年間保有した場合のリターンが最大だったのは1995年の34.1%でした。

意外と昔ですね…。

一方で1年間保有した場合のリターンが最低だったのはリーマンショックがあった2008年の-38.5%でした。

また、過去30年において
1年間保有した場合のリターン平均は9.9%でした。

S&P500のリターンが年率10%程度と言われているのは
この結果からも納得ですね。

さて、
これだけではいまいちピンと来ないので
次は3年間保有した場合について見てみます。

S&P500を3年間保有したときのリターン

1992年からの各年を起点として
S&P500を3年間保有した場合のリターンは
下表の通りでした。

2020年以降は3年間保有したデータを取ることができないので
集計は2019年までとなっています。

こちらも先ほどと同様に

1992年初から3年間S&P500を保有した場合に
10.1%のリターンを得られた、

1993年初から3年間S&P500を保有した場合に
41.4%のリターンを得られた、

ということを表しています。

リターンがプラスだったのは22回
マイナスだったのは6回でした。

言い換えれば
3年間保有してもリターンがマイナスとなってしまう確率が
21%程度ということです。

1年間保有した場合と比べてもあまり変わりがないように思えます。

一方で3年間保有のリターンが最大だったのは
1995年から運用した場合の111.3%で、
リターンが最低だったのは
2000年から運用した場合の-40.1%でした。

1年間保有した場合のそれぞれ34.1%と-38.5%と比較すると、
最大リターンは大幅に改善していますが、
最低リターンはそれほど改善していません

実際に2000年から2002年のように
年率リターンが3年連続でマイナスの時もありました。

結果、過去30年において
3年保有した場合のリターンの平均は32.0%でした。

こちらの数字は1年間保有した場合の9.9%と比べて大幅に改善しています。

以上、1年間保有のリターンと3年間保有のリターンを一覧で比較すると
下表のようになりました。

S&P500を5年間保有し続けたら…?

今度はさらに少し期間を伸ばし、
5年間S&P500を保有した場合のリターンについて見ていきます。

下表の通りの結果となりました。

2018年以降は5年間保有のデータを取ることができないので、
2017年までを集計しています。

1992年以降の各年の頭からS&P500を5年間保有した場合
リターンがプラスだったのは18回
一方マイナスだったのは8回でした。

1年間、3年間保有した場合と比較して
あまり改善はありませんでした

リターンが最大だったのは
1995年頭から1999年末まで保有した場合の219.9%で、
リターンが最低だったのは
2004年頭から2008年末まで保有した場合の-18.8%でした。

また、保有期間5年のリターンの平均は56.5%でした。

下表の通り
最大リターン、最低リターン、平均リターンは
いずれも1年間保有、3年間保有と比較して改善が見られましたが、
5年間保有しても
リターンがマイナスとなる確率は約30.8%と依然高水準でした。

S&P500を10年保有したときのリターン

今度はS&P500を10年間保有したらどうなっていたのかを
分析していきます。

保有期間が先ほどの5年から一気に倍増ですので
さすがに各データの大幅な改善を期待してしまいますが、
結果を見ていきましょう。

2013年以降は10年間保有した場合のデータを取ることができないので
2012年までの集計となっています。

だいぶ赤文字が減った印象です。

その印象の通り、
10年間S&P500を保有した場合
リターンがプラスだったのは18回だったのに対し、
マイナスだったのは3回だけでした。

それでも10年間も保有したのにもかかわらず
リターンがマイナスとなる確率は14.3%ほど残っているというのは
ショッキングな事実です。

リターンが最大だったのは
2012年から10年間保有した場合の279.0%でした。

これは集計できる中で最も直近のデータです。

リターンが最低だったのは
1999年から10年間保有した場合の-26.5%でした。

最低リターンは5年保有の場合よりも悪化してしまいました。

平均リターンは96.5%で、こちらは改善が見られます。

ここまでを整理すると下表のようになります。

このように
歴史的に見ればS&P500も10年間にわたって低迷した期間もあるということが分かります。

15年間保有でついにマイナスの確率がゼロに

さらに期間を伸ばして
15年間S&P500を保有した場合
次のような結果になりました。

2008年以降のデータは取得不可のため
2007年までの集計です。

リターンがプラスだったのは16回
そしてマイナスだったのはついに0回となりました。

つまり過去30年間のデータに基けば
S&P500を15年間保有し続ければリターンはプラスになる
という1つの答えにたどり着きました。

リターンが最大だったのは
1992年から15年間保有した場合の240.0%でした。

これは過去30年間で最も古いデータであり、
10年間保有した場合の最大リターンと比べると悪化しました。

一方最低リターンは
2000年から15年間保有した場合の40.1%でした。

15年間保有し続ければ
最低でも40.1%のリターンが得られるということになります。

ご参考までに、この最低リターンを年率に直せば単利で2.67%です。
※実際には複利での運用なので、年率リターンはもっと低いです。

リスクをとって運用した結果15年間で年率2.67%と考えると
少し物足りないでしょうか。

15年間保有した場合の過去30年間の平均リターンは131.7%でした。

ここまでをまとめると次の表の通りです。

ご参考:S&P500を20年間、30年間保有した場合

ご参考までに、
S&P500を20年間保有し続けた場合、
30年間保有し続けた場合についても
データを集計して見ました。

20年間保有した場合↓

30年間保有した場合↓

保有期間ごとのデータまとめ↓

平均リターンについては
保有期間が長期化するにつれ一貫して上昇しています。

特に1992年から30年間保有し続けた場合には
累計リターンは1042.7%と、実に10倍以上に上昇していることが分かります。

また、15年を以上保有すれば
過去30年で見ればリターンは必ずプラスになっていました。

安定した利益を上げる方法

ここまでの説明でどのように感じましたか?

10年間も持ち続けてもマイナスのままになってしまう可能性があるのか

プラスになるまでに15年間も待たないといけないのか

プラスになるまで将来を信じて我慢して保有し続けることができるのか

こういった不安を感じた方が多いのではないでしょうか?

この項では、この不安を解消してくれる方法について説明します。

まず、ここで強調しておきたいのは、
ここまでの説明で紹介したデータ、数字は全て
各年の年初に一括購入し、その後売却も購入もせずにただ保有し続けた場合
のものだということです。

逆にもし途中で売却したり購入したりしていたら、
結果は全く別のものになります。

株価が下落していたら…

次のようなケースについて考えて見てください。

今から1年前、A社の株価は1,000円でした。
あなたは100,000円を出してこのA社株を100株購入しました。
その後A社の株価は低迷し、現在は500円になってしまいました。
ただしA社の業績は今後も成長することが見込まれています。
あなたはどのような行動を取りますか?
このケースにおいてあなたが取れる行動は3つです。
一つは売却してしまうこと。
二つ目はそのまま保有し上昇を待つこと。
そして三つ目はA社株を追加で購入することです。

売却した場合

一つ目の売却してしまう場合について見ていきます。
売却してしまえば、ここで5万円の損失が確定してしまします。
その後株価が上昇してもその恩恵を受けることはできません。
業績の成長が見込まれているのであれば
株価の上昇も見込まれていることに等しいので
売却してしまうという選択をするのは愚策です。

そのまま保有した場合

二つ目のそのまま保有し上昇を待つケースではどうでしょうか。
今後株価の上昇を見込んでいるのであれば
売却せずの持っておくというのは1つの作戦です。
ただし、もう1度株価が最初の1,000円に戻るのを待ち続けばければなりません
もっと言えば1,000円に戻ったとしてもやっとトントン
リターンを得るにはそこからさらに株価が上昇しなくてはなりません。
それまで含み損を抱え続けることに耐えられる鋼のメンタルが必要です。

追加購入した場合

では三つ目の追加で購入する場合はどうでしょうか。
例えば今、追加で100株購入したとしましょう。
今までは「100株を1,000円で買った」というステータスであったのに対し
追加購入したことで「200株を750円で買った」というステータスに書き換えることができます。
言い換えれば、より安く買えた
平均取得単価を下げることができたということになります。
この場合、株価が750円円まで戻ればトントン
1,000円まで戻れば200×(1,000-750)=50,000円の利益を取れることになります。
今のケースでは追加購入を100株(追加前に保有していた株数)で考えましたが、
こんどは例えば100,000円(一番最初に拠出した金額)を追加購入したらどうなるでしょうか。
100,000円で買える株数は当初は100株だけでしたが
株価が下がっているので今は200株買うことができます
すると1,000円で100株、500円で200株買えたことになるので、
平均取得単価は
(1,000×100+500×200)÷300=666.66666…
と約667円になります。
この場合、株価が667円まで戻ればトントン
1,000まで戻れば300×(1,000-667)=99,900円の利益を取れることになります。
このように買い増しをする際には、
株数ではなく金額を固定して買い増していく方が有利です。

長期投資において安定した利益を上げる方法

以上で見たように、
長期投資において安定した利益を上げるには、

下がったら買い増しする

ということが非常に重要です。

そしてそのために、

資金があるからといって一気に購入しない(追加購入の余力を残しておく)

ということも必要で、長期投資のリターンを安定させるための方法の一つです。

これを時間分散と言います。

どんなに長期で上昇の見込まれている株でも
短期、中期で見れば大きく上下することもあります。

だからこそ時間分散の考え方について理解を深めておいてください。

まとめ

過去30年のデータを検証したところ、
S&P500への一括長期投資には15年以上の継続保有が必要だということが分かりました。

また、リターンも年によってばらつきが大きいことも分かりました。

こうしたばらつきを減らし、安定させるために
「時間分散」の考え方をしっかりと理解しておくことがとても大切です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。