米国株の11セクターの特徴と構成銘柄は?構成比率や年初来パフォーマンスまで徹底解説!!

初めまして、ブログ管理人の浦島太郎です。

どの業種がどんな値動きをしているのかチェックすることは、株式投資において非常に重要です。

S&P500は業種ごとに11のセクターに分類されています。

このセクターごとに指数の動きを追うことで、どの業種が上がっていてどの業種が下がっているのかを大まかに確認することができます

今回の記事では11のセクターの比率や特徴、またそのセクターを構成する主な銘柄まで紹介していきたいと思います。

・S&P500を構成する11のセクター
・S&P500のセクター構成比率
・各セクターの特徴と主な構成銘柄
この記事は特定の金融商品の売買を推奨・誘導するものではありません。
金融商品への投資は投資者自身の判断と責任において行うべきであるという考え方(自己責任原則)に基づき、投資対象の想定される最大損失額・リスク・費用等について十分な情報を収集することを強く推奨いたします。

S&P500を構成する11セクターとその構成比率

11のセクター

S&P500は次の通り11のセクターに分類されています。

1. 情報技術(Information Technology)

2. ヘルスケア(Health Care)

3. 一般消費財(Consumer Discretionary)

4. 金融(Financials)

5. 通信サービス(Communication Services)

6. 資本財(Industrials)

7. 生活必需品(Consumer Staples)

8. エネルギー(Energy)

9. 不動産(Real Estate)

10. 公益事業(Utilities)

11. 素材(Materials)

S&P500のセクター構成比率

今度は、上で紹介した11のセクターがS&P500のそれぞれ何%を占めているのか見ていきます。


※2022年1月末時点

まさに伸び盛りの業種である情報技術セクターが全体の3割弱を占めていることがわかります。

(参考)2022年初からのセクター別パフォーマンス

参考までに、年初来のパフォーマンスをセクターごとに比較してみました。


※2022年2月25日時点

11セクターのうち10セクターが年初来からのパフォーマンスがマイナスでした。

一方エネルギーセクターだけは年初からプラス23.4%と非常に大きなリターンをあげました。

主に原油等のエネルギー価格が高騰したのが要因だと思われます。

また、金利上昇で追い風を受ける金融セクターや、不景気に強い生活必需品セクターは下落を小幅にとどめました。

逆に金利上昇に弱い情報技術セクターや不動産セクターは大きな下落となりました。

セクター紹介

ここからはセクターごとの特徴や上位構成銘柄について解説します。

情報技術セクター

情報技術セクターはコンピュータ・周辺機器、ソフトウェア、通信機器、半導体・半導体製造装置、情報技術サービス、電子装置・機器・部品の業種に属する企業から構成されます。

情報技術セクターを構成する上位10の銘柄は下表の通りです。

組入順位

ティッカー 銘柄名

1

AAPL アップル
2 MSFT

マイクロソフト

3 NVDA エヌビディア
4 V ビザ
5 MA マスターカード
6 AVGO ブロードコム
7 CSCO シスコ・システムズ
8 ADBE アドビ
9

ACN

アクセンチュア
10 CRM セールスフォース

アップルやマイクロソフトをはじめとする超有名IT企業の名前が並びます

日常生活で目にする名前も多いのではないでしょうか。

計り知れない成長性が潜在的に存在する企業ばかりで今後の上昇も非常に期待できます

一方、金利が上昇する局面ではパフォーマンスが悪化する傾向があります。

ヘルスケアセクター

ヘルスケアセクターはヘルスケア機器・用品、ヘルスケア・プロバイダー/ヘルスケア・サービス、ヘルスケア・テクノロジー、バイオテクノロジー、医薬品、ライフサイエンス・ツール/サービスの業種に属する企業から構成されます。

ヘルスケアセクターを構成する上位10の銘柄は下表の通りです。

組入順位

ティッカー 銘柄名

1

UNH ユナイテッド・ヘルス
2 JNJ ジョンソン・エンド・ジョンソン
3 PFE ファイザー
4 ABBV アッヴィ
5 TMO サーモフィッシャーサイエンティフィック
6 ABT

アボット・ラボラトリーズ

7 MRK メルク
8 LLY イーライリリー
9

DHR

ダナハー
10 BMY ブリストル・マイヤーズ

コロナ禍で一躍知名度が跳ね上がった企業も散見されます。

ヘルスケアセクターの特徴は不景気でも底堅く推移するのに加え、長期的な成長性をも兼ね備えていることです。

増配を続けるなどして株主還元に積極的な企業も存在し、安心して保有できるセクターの一つです。

一般消費財セクター

一般消費財セクターは小売(専門小売り、複合小売り、インターネット販売・通信販売)、ホテル・レストラン・レジャー、繊維・アパレル・贅沢品、家庭用耐久財、自動車、自動車部品、卸売、レジャー用品、各種消費者サービスの業種に属する企業から構成されます。

一般消費財セクターを構成する上位10の銘柄は下表の通りです。

組入順位

ティッカー 銘柄名

1

AMZN アマゾン
2 TSLA テスラ
3 MCD マクドナルド
4

NKE

ナイキ
5 LOW ロウズ
6 HD ホーム・デポ
7 SBUX

スターバックス

8 BKNG ブッキング
9 TGT ターゲット
10 TJX TJX

一般消費財セクターには馴染みのある企業の名前が並びます。

日本でサービスを提供したり店舗を展開している企業もたくさんあります。

そんな一般消費財セクターの特徴は、景気の良し悪しに敏感ということです。

つまり、好景気の局面では株価も堅調に推移しますが、不景気に陥ると株価のパフォーマンスも低下する傾向にあります。

金融セクター

金融セクターは商業銀行、資本市場、各種金融サービス、保険、モーゲージREIT等の業種に属する企業から構成されます。

金融セクターを構成する上位10銘柄は下表の通りです。

組入順位

ティッカー 銘柄名

1

BRK

バークシャー・ハサウェイ

2 JPM JPモルガン
3 BAC バンク・オブ・アメリカ
4 WFC ウェルズ・ファーゴ
5 MS モルガン・スタンレー
6 C シティグループ
7 SCHW チャールズ・シュワブ
8 AXP アメリカン・エキスプレス
9 GS ゴールドマン・サックス
10 BLK ブラックロック

名だたる金融機関名が並びます。

金融セクターも、一般消費財セクターと同様景気に敏感なセクターです。

さらに、金融セクターは金利上昇に強いという特徴があります。

金利が上昇すると株価は全体的に軟調に推移する傾向がありますが、金融セクターを組み入れることで金利上昇への対策として一定の効果が期待できます。

通信サービスセクター

通信サービスセクターは各種電気通信サービス、無線通信サービス、メディア、娯楽、双方向型メディア&サービスなどの業種に属する企業から構成されます。

通信サービスセクターを構成する上位10銘柄は下表の通りです。

組入順位

ティッカー 銘柄名

1

FB メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)
2 GOOGL アルファベットA(グーグル)
3 GOOG アルファベットC(グーグル)
4 ATVI アクティビジョン・ブリザード
5 VZ ベライゾン・コミュニケーションズ
6 TMUS TモバイルUS
7

T

AT&T
8 DIS ウォルト・ディズニー
9 CHTR

チャーター・コミュニケーションズ

10 CMCSA コムキャスト

グーグルやメタ(旧フェイスブック)、ディズニー等をはじめ身近な企業が多いです。

通信サービスセクターの特徴は不景気にある程度強い点です。

不景気でもネット検索や電話は減らないからです。

ただし、業種が娯楽へ分類される企業も含まれており、こうした企業は景気に左右されやすい側面を持っています

資本財セクター

資本財セクターは航空宇宙・防衛、建設関連製品、建設・土木、航空貨物・物流サービス、旅客航空輸送業、陸運・鉄道、運送インフラ等の業種に属する企業から構成されます。

資本財セクターを構成する上位10銘柄は下表の通りです。

組入順位

ティッカー 銘柄名

1

UNP ユニオン・パシフィック
2 UPS

ユナイテッド・パーセル・サービス

3 RTX

レイセオン・テクノロジーズ

4 HON ハネウェル
5 BA ボーイング
6 CAT キャタピラー
7 GE

ゼネラル・エレクトリック

8 DE ディア・アンド・カンパニー
9 LMT ロッキード・マーティン
10 MMM 3M

資本財セクターは景気に敏感であるという特徴を持ちます。

特にコロナ禍では鉄道や飛行機への需要が激減し、業績に大きなダメージを負った企業もたくさんありました。

一方好景気の局面では株価も堅調に推移します。

生活必需品セクター

生活必需品セクターは食品・生活必需品小売、飲料、食品、タバコ、家庭用品、パーソナル用品の業種に属する企業から構成されます。

生活必需品セクターを構成する上位10銘柄は下表の通りです。

組入順位

ティッカー 銘柄名

1

PG

P&G

2 KO コカ・コーラ
3 PEP ペプシコ
4 COST コストコ
5 PM フィリップモリス
6 MO アルトリア
7 MDLZ モンデリーズ
8 WMT ウォルマート
9 EL エスティーローダー
10 CL コルゲート・パーモリーブ

日本文化にも深く浸透している企業が並びます。

生活必需品は景気の良し悪しに関わらず強い需要があるので、不景気でも株価はあまり影響を受けないという特徴があります。

比較的株価のボラティリティが低い傾向があります。

さらに配当による株主還元に積極的な企業が多く、構成上位のP&G、コカ・コーラ、ペプシコといった企業はいずれも60年近く増配を続ける配当貴族銘柄であることでも知られています

エネルギーセクター

エネルギーセクターは石油、ガス、消耗燃料およびエネルギ設備・サービスなどの業種に属する企業から構成されます。

エネルギーセクターを構成する上位10銘柄は下表の通りです。

組入順位

ティッカー 銘柄名

1

XOM エクソンモービル
2 CVX シェブロン
3 EOG EOGリソーシズ
4 SLB シュルンベルジェ
5 COP コノコフィリップス
6 PXD パイオニア・ナチュラル・リソーシズ
7 MPC マラソン・ペトロリアム
8 PSX フィリップス66
9 WMB ウィリアムズ
10 OXY

オキシデンタル・ペトロリアム

エネルギーへの需要は不景気においても一定程度存在しているので、このセクターも景気後退に強い側面を持ちます。

一方、原油産油国の生産量や地政学リスクによってエネルギー価格が大きく変動した際には株価のボラティリティも上昇し、不安定な動きになる傾向があります。

今回のロシアとウクライナ情勢がまさにその例です。

また、長期的に見ると環境への配慮により石油への需要は緩やかに減少していく可能性があり、成長性にやや欠けるセクターとも言えます。

不動産セクター

不動産セクターは不動産管理・開発およびREIT(モーゲージREITを除く)の業種に属する企業から構成されます。

不動産セクターを構成する上位10名柄は下表の通りです。

組入順位

ティッカー 銘柄名

1

PLD プロロジス
2 AMT

アメリカン・タワー

3 CCI クラウンキャッスル
4 EQIX エクイニクス
5 PSA パブリック・ストレージ
6 SPG サイモン・プロパティ・グループ
7 DLR デジタル・リアルティ
8 O リアルティ・インカム
9 WELL ウェルタワー
10 AVB

アバロンベイ・コミュニティーズ

不動産セクターは景気に非常に敏感です。

景気が拡大すれば不動産価格も上昇し、景気後退局面では不動産価格が下落するためです。

また、金利上昇に弱いという側面も持ちます。

金利が上昇するとローン金利の上昇に波及し取引が手控えられる傾向にあるからです。

直近ではコロナの影響もあり商業施設やホテル関連の不動産が足を引っ張りましたが、インターネット社会の拡大でデータセンターや物流関連の不動産は需要が大きく拡大しました。

公益事業セクター

公益事業セクターは電気、水道、ガス、総合公益事業、独立系発電事業者・再生可能電力事業者等の業種に属する企業から構成されます。

公益事業セクターを構成する上位10銘柄は下表の通りです。

組入順位

ティッカー 銘柄名

1

NEE ネクステラ・エナジー
2 DUK デューク・エナジー
3 SO

サザン・カンパニー

4 D

ドミニオン・エナジー

5 SRE

センプラ・エナジー

6 AEP

アメリカン・エレクトリック・パワー

7 EXC

エクセロン

8 XEL

エクセル・エナジー

9 PEG

パブリック・サービス・エンタープライズ・グループ

10 ED

コン・エジソン

電気や水道、ガスへは景気後退時にも強い需要が存在するため、公益事業セクターは不景気に強いという特徴があります。

また、再生可能エネルギー関連の銘柄においては今後の成長にも注目が集まっています。

素材セクター

素材セクターは化学、建設資材、容器・包装、金属・鉱業、紙製品・林産品の業種に属する企業から構成されます。

素材セクターを構成する上位10銘柄は下表の通りです。

組入順位

ティッカー 銘柄名

1

LIN リンデ
2 SHW

シャーウィン・ウィリアムズ

3 FCX

フリーポート・マクモラン

4 NEM

ニューモント・マイニング

5 APD

エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ

6 DOW ダウ
7 ECL エコラボ
8 DD デュポン
9 CTVA コルテバ
10 IFF

インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス

素材セクターの特徴として、景気に敏感であることが知られています。

好景気時には業績も堅調に推移します。

ただ、日本で生活しているとほとんど目にしない銘柄が多いというのがネックです。

まとめ

最後に各セクターの特徴について簡単にまとめておきたいと思います。

情報技術セクター
・アップル、マイクロソフト等のIT企業から構成される。
・成長性が大きい。
・金利上昇に弱い。
ヘルスケアセクター
・不景気に強いディフェンシブセクター。
・長期的には成長性も兼ね備える。
・株主還元に積極的な企業も存在。
一般消費財セクター
・アマゾンやテスラ、マクドナルド等有名企業を中心に構成。
・景気に敏感なシクリカルセクター。
金融セクター
・景気に敏感なシクリカルセクター。
・金利上昇に強い
通信サービスセクター
・グーグルやメタ(旧フェイスブック)等を中心に構成。
・不景気に強いディフェンシブ銘柄と景気に敏感なシクリカル銘柄が混在。
資本財セクター
・景気に敏感なシクリカルセクター。
生活必需品セクター
・P&Gやコカ・コーラ等馴染みのある銘柄を中心に構成。
・不景気に強いディフェンシブセクター。
・株主還元に積極的な企業が多い。
エネルギーセクター
・不景気に強いディフェンシブセクター
・エネルギー産出国の動向次第で株価のボラティリティが上昇する。
・長期的な成長に欠ける。
不動産セクター
・景気に敏感なシクリカルセクター。
・金利上昇に弱い。
公益事業セクター
・不景気に強いディフェンシブセクター。
・再生可能エネルギー等成長性にも注目。
素材セクター
・景気に敏感なシクリカルセクター。
・馴染みのない企業が多い。
最後まで読んでいただきありがとうございました。